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川勝先生ご推薦文献リスト その1 (2010.03.28)

E. F. Redish,"Teaching Physics with the Physics Suite", Wiley (2003).

解説

アメリカの物理教育の基本的テキスト。日本で一生懸命紹介しているのは覧具さん。2,3年前から勉強して紹介している。アドバンシング物理も訳している。アメリカも最初は物理教育に偏見があった。いまは物理教育で博士号を出せるようになっている。ワシントン大学にマクダムートという人がいて、その人が出してから出せるようになった。Redish, のところはもちろん、今は2ダース位の大学で出せるようになっている。ヨーロッパは、むかしから出せたんだけどね。ヨーロッパは動物学と物理の2つを持ってる人とかがいて面白い。

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Roger Osborne and Peter Freyberg,"Learning in Science: The implications of Children's Science", Heinemann (1985).
R.オズボーン, P.フライバーグ, "子ども達はいかに科学理論を構成するか−理科の学習論", 東洋館出版社 (1988).

解説

訳もあるけど……英文の方がいいと思う。香川大学にいた頃、学生のゼミで使った。 これを訳したのが森本信也さんと堀哲夫さん。いまは横浜国大、山梨大学。 この二人は1980年代の上智大学での国際会議にはまだ若くて出ていなかったが、この二人の指導的立場の教官の先生たちと僕は出た。 いま国際的な転換になってるよ、という話がその時あった。基本的にはこれは論文集ですね。 現在の理科教育は、いい意味でも悪い意味でも、これに書いてあることに支配されてると思う。 これは踏まえていないと、ものを言えない。認知構成についての本です。 誤概念のようなものを、子どもはどのように構成して行き、そしてまたいかにして克服できるかをまとめた本です。 一時、品切れ状態だったけど、要求が多くて再版した。 その関連図書で、小中学校の理科にもっと具体的に関連してるのは、英国のドライバーとかフランスのティーベルジャンの本ですね。

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Rosalind Driver, Edith Guesne, Andree Tiberghien, "Children's Ideas In Science", Open University Press (1985).
R. ドライバー, E. ゲスン, A. ティベルギェ, "子ども達の自然理解と理科授業", 東洋館出版社 (1993).

解説

当時この分野の「世界の3婆」といわれている人がいて、アメリカのマグダムート、イギリスのドライバー、フランスのティーベルジャン。 そのうちの二人が書いた本。私が直接議論してたのは、ドライバーさん。 当時中心となって、みんなのために、ワークショップをやってくれたのがリーズ大学のドライバーさんです。 癌で早くなくなっちゃった。残念です。その後継者が。フイル・スコットさん。 この本も学生のゼミで使った。非常に実践的な本。こっちのほうが具体的。彼女の良さですね。 当時としては画期的で。訳はまぁまぁです。

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Richard T. White, "Learning Science", Blackwell Publishers (1988). R.T.ホワイト, "子ども達は理科をいかに学習し教師はいかに教えるか", 東洋館出版社 (1990).

解説

子どもの概念の地図。これも堀哲夫、森本グループの訳したもの。 理科教育を専門にしようとするなら、この3冊を抑えておかないと恥ずかしい。 これに対する批判はあると思うが、踏まえていないと学会誌が読めない。 今の小・中学校理科の支配的考えを知るには、上の3冊でいいと思います。 (ちなみに名前の似ているオグボーンは、イギリスのナフィールド財団の協力を得て、ナフィールド物理を作った。 彼は昔は、高校の先生でしたね。PSSCの時代に、それに匹敵する科学教育のテキストを作った。 当時、これに国家の教育予算と、桁が同じ膨大なお金が投入されています。凄いですね。 のちに彼はアドバンシング物理も作っていますから、巨人です。)

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湯沢正通, "認知心理学から理科学習への提言-開かれた学びをめざして",北大路書房 (1998).

解説

香川大学ではこれを僕の授業で、学生全員に1章から全部読ませていましたね。 どういうテーマで研究活動、自由研究をやらせたらいいかとか、認知心理学の立場から書かれています。 これはなかなかいい本。いま再販になりました。 専門書になるといい本はいっぱいあるんだけど、いきなりは読めないからまずは入門書から。 3冊紹介したけど、こういう本は一人ではなかなか読めないんですよね。 なぜかというと子供の認識がわからないからなんですよね。実践とともに読む。 みなさんが読むならこっちのほうが読みやすいと思います。学校知と日常知の隔たりとかね。

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西林克彦, "間違いだらけの学習論 なぜ勉強が身につかないか", 新曜社 (1994).

解説

その次ですね、すぐ読んだ方がいい本があるんですよ。すぐ。 当たり前のように思っている勉強についての僕らの考えを、最近の認知心理学の立場からひっくり返してくれる本で、さっき挙げた本を全部踏まえています。 東北の人で、極地方式とか、民間の教育研究を踏まえて、解りやすく面白く書いている。いろんな説を実証的にひっくり返してます。 すぐ読むといいです。認知心理学を実証的に書いてる本。 大学院のゼミでディスカッションしながら読みましたね。章ごとに分担、報告、ディスカッション、現場の先生から実践に基づいてどう思うかをレポートさせて。 だから自分の理科の指導としてこれでよかったのかどうかを検討させて、自分の学習論を作る。

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波多野誼余夫, "自己学習能力を育てる 学校の新しい役割", 東京大学出版会 (1980).

解説

もう一つすぐ読める本。 岩波新書にいっぱい書いてる人です。予備知識なんていらない。自分の経験に照らし合わせてすぐ読めばいい。

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田中智志, "教育学がわかる事典", 日本実業出版社 (2003).

解説

教育学で何が今問題になっているか。 概観を知るために読む。

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J.サマヴィル, "科学入門 科学の方法と歴史", 白揚社 (1955).
John Somerville, "The way of Science, its Growth and Method"

解説

もう一つ、科学教育をするためには、科学論を勉強しておかないといかんです。 PSSCの時代に世界中で科学論が議論された。その当時にしっかり書かれて、大学生高校生も読める本として普及したのが、 J.サマヴィル『科学入門 科学の方法と歴史』。 これはもう絶版になってるかもしれないけどね。当時としての、まとめですね。

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板倉聖宣, "科学と仮説 仮説実験授業への道", 季節社 (1971)

解説

科学論ですぐ読めて、今読んだ方がいいのは 板倉聖宣『科学と仮説 仮説実験授業への道』。 これは科学論の一番の基本。プロ向け、理論的な本だけどすぐ読めます。 運動に関して狭さはあるけど、世界的にみて、ちゃんした水準でやってるのは仮説ですね。 香川大学に赴任する時、板倉さんが推薦人でした。「師弟関係はないが、夜を徹して議論して有益だった。坂田・武谷学派の同僚かな」と言っていました。 板倉さんは、テキストを作る、私はテキストをつくる人をつくる。そんな役割を思っていましたが。

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モーリス・ドベス, "教育の段階−誕生から青年期", (1982)

解説

今は認知とか発達とか言ってるけど、昔は教育心理学、学習心理学と言っていた。ヴィゴツキーとピアジェが2大巨頭。 ヴィゴツキーは1930年くらいに早く死んじゃった。ピアジェの解説書で、これは岩波。今でもずっと読まれていると思います。 確実な基本図書。香川にいたときは、小学校や幼稚園課程の学生に読ませました。 他に解説書はいっぱいあるけれど、一番権威のある解説書の一つ。ピアジェの原著は分厚いんですよ。 重さの概念の形成の部分とか、そのまま授業に使える。それを授業化したのは、日本がもっとも早いんじゃないですかね。 ピアジェの実践研究は、日本が進んでいる。専門書はあっちこっち立証しようとするから、時間かかりますね 。ピアジェとヴィゴツキーの二人はよく論争をしていた。 ヴィゴツキーはロシアの人。スターリン体制などでよく批判もされたけど、革命直後活躍していて、ソビエト心理学の中心だった。 ピアジェも高く評価していて。重要人物。日本の先生はピアジェよりヴィゴツキーの方の影響が強い。 教師の指導性を重視する理論。「発達の最近接領域理論」というのがあって、どの教育書にも必ず出てくる理論。 どこを焦点として教育したらいいか。子どもが一人では解決できないけれど、協力しさせすれば自力で解決できるようになる領域、そこが教育課題になるんだという。 発達段階の後追いでなく、促進を考えている。

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小柳正司, "リテラシーの地平 読み書きの教育哲学", 大学教育出版 (2010)

解説

その次はリテラシーの話。 出たばかりの本です。読み書き能力の、リテラシーとは何か、これからおそらく問題になる。 それがどれだけ深いものがあるのかちゃんと理解してほしい。早めに読んで欲しいですね。 リテラシーにもいろいろな立場があるんだけど、批判的リテラシーの立場に立っているのがユネスコで、ぼくはそれに基づいて話しているので。 文科省はたぶん違うと思います。むしろ文化的リテラシーに近いです。 学術会議もそうで、その中で多少批判的リテラシーの意味も持たせようと努力してるのが北原さん。 世界人権宣言を最初に入れようとしてるのは、そういうことのような気がします。 人権宣言で、教育を受ける権利とし、注も書いているのは、ピアジェですね。

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板倉聖宣, 科学的とはどういうことか", 仮説社 (1977)

解説

最初に読んだ方がいいかな、と思って紹介したのが、めちゃくちゃ易しい本。 易しいんだけど、実際に実験やってみると面白いよ。まるで違ってくる。深い。

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板倉聖宣, "ぼくらはガリレオ", 岩波書店 (1972)

解説

同じように板倉さんの本で、物の落下を、実験やディスカッションしながらやってくのを本にしたのが岩波の 板倉聖宣『ぼくらはガリレオ』。 江沢さんの、岩波科学の本の、誰が原子を見たか、もレベルが相当高いですが、いいですね。

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川勝先生のお言葉

どれを読むにしても、研究につながるように、検証しながら、批判的に、論文を書くために読むこと。
各大学で子供の認知調査などをして、データを取る。また教育の現場で常識化した実験を吟味してみる。本当にそうか。
埼玉大学の金山さんという人が、定説をひっくり返す実験を集めた本がある。これは面白い。
こんな実験を見つけると、学生の考えがいっぺんに変わる。

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